「映画レビュー」カテゴリーアーカイブ

散歩する侵略者|「概念」の喪失というなかなか恐ろしい映画

「散歩」という日常的なキーワードと、「侵略者」という非日常のキーワードが合わさった少し違和感を感じるタイトルに釣られました。何だか知らないけどこれは観なければいけない、そんな気がしたのでこちらも初日に観てきました。

何が起こるか分からないこの時代にふさわしい、と言っては大袈裟だと思いますが、今だからこそ、自分の大切なものに気づかせてくれるような映画でした。


映画「散歩する侵略者」予告編(nikkatsuchannelより) 

冒頭からなかなか衝撃的。オープニングの掴みはOK

タイトルに釣られたはいいけど、そもそもこの映画はどんな映画なのか?という疑問を持ちながらの鑑賞でした。
別に予告を観たわけでもなく、ただ映画館の公開予定に載っているのを見かけたのがこの映画を知ったきっかけだったため、事前の予備知識が全く無かったのです。
しかしながら、そんな人でも大丈夫(?)なくらいオープニングが衝撃で、すぐに物語に引き込まれました。
「とりあえず何かヤバいものが地球に来た」ということは容易に理解することが出来、この後どういう展開になっていくのだろう、というのがすごく気になりました。

観進めていかないと面白さがこみ上げてこない映画も意外と多くある中、そういう意味では、早い段階で観客を映画に引きずり込むということになかなか成功しているのではないでしょうか。少なくとも私は、今後どんな展開になるのかワクワクしました。

ただ、正直ラストはオープニングほどの勢いはなく、どちらかと言えば考えさせられる感じに収まっていたように思います。
私は結構好きなテイストの映画だったので面白かったですが、壮大なラストを期待している方はちょっと方向性が違うかもしれませんのでお気をつけください。

この感じ…まるで世にも奇妙な物語を観ているような感覚

オープニングで受けた衝撃もそうなんですけど、映画タイトルや設定など色んなものに既視感を感じながら観ていました。途中でようやく気づいたんですが、これはあれだ、「世にも奇妙な物語」だ!という結論に至りました(笑う)

侵略者が登場してきますが、SFなのかと思いきや、夫婦の物語でもあったり、色んなジャンルを織り交ぜた不思議な映画で、テレビの「世にも奇妙な物語」で放送されていても違和感がない内容でした。
そういう意味では、そもそも映画にする必要あるの?と思ってしまうところでもあり、劇場で観る価値はないなんて一蹴してしまう人もネットで見かけたりしましたが、私は十分楽しめました。
(ダンケルクを観た後だったため、アクション要素があるシーンの迫力はあまり感じなかったのは正直なところです…)

ただ出演は、長澤まさみさん、松田龍平さん、長谷川博巳さん、高杉真宙さん、恒松祐里さん、前田敦子さん、満島真之介さん、児島一哉さん、光石研さん、東出昌大さん、小泉今日子さん、笹野高史さんといった豪華な方々で、特に「侵略者」役の松田さん、高杉さん、恒松さんは人間じゃない無機質な笑いや歩き方などの演技が不気味ですごく良かったです。

人間の「概念」を奪うという斬新なアイディアに考えさせられる

この映画の注目すべきポイントは、やはり「人間の概念」を奪うというアイディアではないかと思います。
侵略者は人間を乗っ取り、侵略のために活動します。その際、人間とはどういうものか調べるために、「人間の概念」を奪っていきます。
例えば、「家族」「仕事」「所有」「自分」等。
侵略者たちは、自分って何?家族って何?と問いただし、会話した相手からその「概念」奪います。奪われた人は、永遠にその概念が永遠に失われてしまう…という何とも恐ろしい内容。

私たちは、色んな概念に縛られて生きていると感じたし、その概念から開放されることは果たして幸せなことなのか、ということを深く考えさせられました。
また、概念を奪っていく侵略者は、何も知らない子供から大人へと成長していくような気さえして、概念を奪う(縛られていく)侵略者と、概念から解放された人間の対比なんかも、観ていて恐ろしさを感じました。
これはなかなか斬新な映画だなぁ…

あと、概念とは関係のない話題ですが、侵略が進んでいるにも関わらず人間がのん気にしている様なんか、まさに今の時代に照らし合わせることもできる場面があったりして、色んな意味で考えさせられました。

ラストは、見方によってはすごい衝撃的です…
色んな考察ができるかと思いますので、ぜひ劇場で観て欲しいと思います。私は2回目観にいこうかなぁ…


なかなか観たことないタイプの映画でしたが、コミカルな場面やシリアスな場面が入り乱れて、最後は色んな考察ができて…と、見所がたくさんある映画だと思います。長澤まさみさん、美人だったなぁ…

公式HP:散歩する侵略者

トップ画像引用:(c)2017「散歩する侵略者」製作委員会

鑑賞記録

劇場

TOHOシネマズ錦糸町
スクリーン3(シネスコサイズ)
上映回:2017年9月9日(土)21時15分~

本編前予告作品一覧(上映順)

(1)STAR WARS 最後のジェダイ

(2)Fate stay night

(3)ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~

(4)ナラタージュ

(5)亜人

(6)曇天に笑う

(7)8年越しの花嫁

(8)覆面系ノイズ

(9)ナミヤ雑貨店の奇蹟

客層

20代 2割
30~40代 6割
50代以上 2割
男女比 7:3

備考

・本編開始後の入場者1名
・カップルで鑑賞している人が多かった

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三度目の殺人|真実が逃げ続ける、考察を観客に委ねる映画

日本映画史に残る心理サスペンスと言われてずっと気になっていたので、公開初日に行ってきました。

いやー、なかなか難解。
というか分からないことも多くて、すっきりした気持ちにはなれないけれど、かなり考察が捗りそうな見応え十分な映画でした。


「三度目の殺人」予告編(公式配信:ギャガ公式チャンネルより)

映画に引き込まれていくほど、俳優陣が熱演!

この映画のキャストは個人的になかなか豪華で、主演の福山雅治さんの他に、役所広司さん、広瀬すずさん、斉藤由貴さん、吉田鋼太郎さんなどが出演されています。

福山さんは、昨年のSCOOP!でちょっとゲスなカメラマン役をやっていたのを観て以来ですが、今回は弁護士という役柄。
しかも、「勝ちにこだわる」ことを徹底した弁護士ということで、映画の序盤でも、死刑から無期懲役に持ち込むために徹底した姿勢で臨んでいる姿が印象的でした。

対して、殺人犯役の役所広司さんの演技もとても素晴らしく、さすがベテランは違うなぁ…と物語に引きずり込まれるほどでした。弁護士の接見のたびに供述がコロコロ変わったり、感情の起伏だったり、瞳だったり、全てひっくるめた犯人の不気味さみたいなものが凄く滲み出ていて、福山さん演じる重盛弁護士もそれに振り回されて、「勝ちにこだわる」ことをそっちのけで真実を知りたくなってしまうというストーリーに納得してしまう圧倒的な演技でした。

そんな二人の他にも素晴らしい演技をされている方がたくさんいましたが、特に被害者の娘役の広瀬すずさんも圧倒的でした。
口数が少なく地味な役柄ではありますが、何かを訴えかけるような瞳を演技としてやられているのがホントに凄いと思いました。

「真実は逃げ続けた」キャッチコピー通りの展開にモヤモヤ

この映画のコピーに「犯人は捕まった。真実は逃げ続けた。」とありますが、まさにそれを体現するような映画でした。

話が進むにつれて、被害者の娘と犯人に接点があることなど様々な事実が浮かび上がってきますが、犯人が供述を二転三転させるため、それが真実なのかどうか、観客も振り回され続けます

ホントに、真実に手が届きそうなところまで来るんですけど、逃げていきます…そのため、すごくモヤモヤした気持ちになります

役所広司さんをはじめとした俳優陣の演技や監督の画の魅せ方がとても巧みで、真実に辿り着きそうだけど辿り着かない絶妙な位置に観客を置いていくのが憎らく感じてしまいます(笑)

そういう意味では、正解を有耶無耶にしている分、色んな考察をすることができる映画だと思います。
一人で観に行っても良いと思いますが、おそらく友人など複数人で観に行って、鑑賞後に感想や意見を交換するとより楽しめるのではないでしょうか。

犯人は前科があるという設定ですが、個人的には最初の事件をもっと掘り下げてもらえたら考察が捗りそうな気がしました。

全編通して静かな映画のため、それが苦手な人は不向き

この映画は、犯人と弁護士のやり取りや裁判などのシーンが大半を占めており、はっきり言って賑やかな映画ではありません
前項でも紹介した通り考察が捗りそう、かつ難解な映画で、どちらかと言えば静かで頭を使いそうな内容になっています。

そのため、こういった映画が苦手な方はおそらく楽しめないと思いますし、途中で眠くなってしまうと思います。

そもそも「映画」に求めるものは人によってまちまちだと思いますが、心理サスペンスとあるように、この映画は、笑ったり泣いたりというような感動を得るものではなく、考えさせられるものだと思いました。
ちなみに私は考察したりすることも好きなので、とても楽しめました。

映画タイトル「三度目の殺人」とは?

若干のネタバレというか考察となりますが、そもそも映画のタイトル「三度目の殺人」とはどういう意味なのでしょうか?
これは、観る人によって色んな見方ができるのかなと思います。

今回の犯人は前科があり、2回殺人を犯しています。その2回目の殺人のために逮捕され、犯行も自供していることから死刑は確実、というような話から始まります。

当然勾留されている為、明確に三度目の殺人を犯す描写というのはなく、それもあってか、映画のタイトルの意味が分からなかったという声もあがっていました。
私自身も、鑑賞直後はタイトルについてどういう意味なのだろうかと考えてしまいましたが、思い返すと色々伏線があり、最終的に一つの結論に落ち着きました。

具体的な考察はまた機会があれば改めて記事を書こうと思いますが、物語の途中で、犯人と弁護士が接見室のガラス越しに手を合わせるシーンや、ラスト、弁護士の「あなたは・・・」に続くセリフあたりがヒントになっているように思います。また、犯人を取り巻く人物たちの言動も織り交ぜると、より納得できる結論に辿り着けるのではないでしょうか。

そういう意味でも、結構観客に考察を委ねる部分が多いのかなと思います。こういう映画は、2度目が一番面白いので、時間を見つけてもう一度観に行きたいと思います。


役所広司さんをはじめとした皆さんの演技がとても素晴らしい映画でしたが、モヤモヤすると思うので観る方は覚悟して頂ければと思います。

色んな人に受けるものもあれば、観る人を選ぶものもある…映画ってホント面白いですね。

公式HP:三度目の殺人

トップ画像引用:(c)GAGA Corporation

鑑賞記録

劇場

TOHOシネマズ市川コルトンプラザ
スクリーン1(シネスコサイズ)
上映回:2017年9月9日(土)15時15分~

本編前予告作品一覧(上映順)

(1)嘘を愛する女

(2)ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~

(3)ナラタージュ

(4)奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール

(5)探偵はBARにいる3

(6)ミックス。

(7)エルネスト もう一人のゲバラ

(8)ユリゴコロ

(9)ナミヤ雑貨店の奇蹟

客層

20~30代 5割
40~50代 5割
男女比 4:6

備考

・本編開始後の入場者6名
・福山雅治さんが主演のせいか、鑑賞した上映回では女性が半数を超えていた
・全編通してとても静かな映画のため、コンセッションを楽しむ余裕がない(ポップコーンなどの音が気になる)
・館外から持込した袋をガサガサしている音がとても響いた

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ダンケルク|音と映像で感じる臨場感。映画を越える映像体験

戦争映画でしかも実話…いつもの自分なら絶対に観に行かない、いわば相性の悪いジャンルだけど、この映画はなかなかズルかった。

何がズルいって、告の作り方がめっちゃ上手い。時計の針の音とかカットの入れ方とか、映像と絶妙に絡まって素晴らしかったし、この絶体絶命感…ホントハマった。「君の名は。」の特報を観たときと同じ感動だった。色んなパターンがあるけど、自分が好きな45秒予告を今回は共有します。

そんなこんなで、自分と相性の悪い映画のプレビューです。


映画「ダンケルク」45秒予告(公式配信:ワーナーブラザーズ公式チャンネルより)

これは映画というか、アトラクションにも似た素晴らしい映像体験

観て最初に思った感想は、音が凄い。
戦闘機が飛行する音、銃撃戦の音、爆撃の音…
迫力がまるで違う。
映画の兵士じゃないけど、伏せて耳を塞ぎたくなるような音は、戦争映画ならではなのかもしれないけれど圧倒的な迫力でした。

また、映像も凄い。
飛び交う戦闘機や軍艦など、観ているだけでもワクワクするのに、それが打ち落とされたり沈没したりする様子をスクリーンで観るのは圧巻でした。
特に戦闘機はCGではなく実写とのことですので、リアリティも凄い…

音と映像の迫力が半端無いので、観ている側もスクリーンの中にいるような臨場感を味わえました。

この救出作戦は、・海・空のそれぞれ時間軸の違う視点で描かれていて同じシーンでも、空から観た視点や、船から観た視点といったような形で映し出されるので、その違いも面白さの一つだと思います。

これほど音や映像が素晴らしい映画は初めてで、映画というか、むしろ映像体験と言った方が正しい気がします。
劇中のセリフも少なく、敵視点も無いなど、観客が映画に入り込む工夫というか細部に及ぶこだわりが凄いので、ぜひ映画館で体感して欲しいです。

物語がシンプルで一切の無駄が無い

この映画は、1940年に起こった、ドイツ軍によるフランス侵攻での戦闘が元になっています。
フランス北端のダンケルクに追い詰められた英仏連合軍40万人の兵士を救出する(撤退作戦)というシンプルなストーリーで、逆に言えばそれだけに注力した物語です。

例えば、何が原因で戦闘が起こったのかとか、ダンケルク以外の地域では何が起こってるかとか、そういうのが一切無いため、観ている側もシンプルなストーリーに集中できます。

真っ暗な映画館の中で映し出される映像は、開始直後からすでに「生き抜く」ということ。私たちが普段、目が覚めて現実を認識するのと同じような感覚で始まるこの映画は、一切の無駄が無いシンプルなストーリーだからこそ観客に与えるインパクトが大きいのだと思います。

逆に言えば、楽しさとか笑いとか、感動の涙とか、難解なストーリーとか…等を映画に求めている方にはつまらないと思います。
そもそも戦争映画ですし、そういうのを求めている方ははじめから観る選択肢に入っていないと思いますが…
(極まれに「話題だから」という理由で観にきて、自分に合わなかったがために「面白くない」と評価する方がいらっしゃいますが、とてももったいないことだと思うので、老婆心ながら書き足しました)

観る劇場は選んだ方が良い。製作者のこだわりに振り回される映画。

前述の通り、普段絶対に観に行かない相性の悪い映画なので、当然予告以外の予備知識が全く無い状態で観に行きました。

また、恥ずかしながら映画のことも深く知らない状態なので、画面サイズについて、シネスコかビスタのどちらかなんでしょ?という浅はかな認識で行ったら失敗しました…

映画に詳しい方々が色々情報発信されていますが、ダンケルクはIMAXフルサイズとのことで、画面アスペクト比が1.43:1となっています。
日本では、109シネマズ大阪エキスポシティのIMAXシアターでしか製作者の意図通りの鑑賞ができないそうです。

そんなことを知らない私は、TOHO市川コルトンプラザのスクリーンに行ってしまい(フリーパスの都合で)、上下左右に余白が出た状態での鑑賞でした。

画面小さっ…てのがまず最初の感想でした。
映写方法について詳しく知らないのですが、縦か横をスクリーンの丈に合わせるってのは出来ないのかなぁ…と思ってしまった(笑う)

前項でも書いた通り、この映画は体感することが醍醐味かと思うので、観るなら劇場を選んだ方がいいと思います。
エキスポシティに行かないまでも、最低限、お近くのIMAXシアターでの鑑賞をおススメします。


相性が悪いジャンルなので、予告を観て何も感じなかったらおそらく観に行くことすらしなかったと思う…
でも観たら凄く良かった!

こんな映画がジャンル問わず増えると、もっと映画の幅が広がりますね。あと予告の出来が鑑賞するしないに大きく影響されることを身をもって体験してしまった…予告大事。そんなことに気づかされる映画でした。

公式HP:ダンケルク

トップ画像引用:(c)WARNER BROS. PICTURES

鑑賞記録

劇場

TOHOシネマズ市川コルトンプラザ
スクリーン5(IMAXフルサイズのため映像40%減)
上映回:2017年9月9日(土)9時20分~

本編前予告作品一覧(上映順)

(1)DESTINY 鎌倉ものがたり

(2)GODZILLA 怪獣惑星

(3)ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~

(4)ナラタージュ

(5)亜人

(6)マイティ・ソー バトルロイヤル

(7)バリー・シール/アメリカをはめた男

(8)アトミック・ブロンド

(9)猿の惑星:聖戦記(グレートウォー)

(10)スクランブル

(11)エイリアン:コヴェナント

(12)エルネスト もう一人のゲバラ

客層

20~30代 2割
40代 2割
50代以上 6割
男女比 9:1

備考

・一人で鑑賞している人が7割程度

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きみの声をとどけたい|今だからこそ観ておきたい。言葉の力を信じるピュアな青春映画

タイトルからして、自分が好きなタイプの映画や…と思って、劇場でチラシを見かけた時から楽しみにしていた映画。

言葉が持つ意味や力を考えさせられるような、でも決して説教染みた感じではなく、優しさに溢れた青春映画でした。


映画『きみの声をとどけたい』本予告(公式配信:東北新社 映画チャンネルより)

力まずに自然体で観れる安心感

ここ最近のアニメ映画は、複雑に張り巡らされた伏線があったり考察が捗る内容だったりが多いけれど、この映画は、ポスターや予告から得られる情報から大きく外れることなく、展開が読みやすかったので割りとリラックスして観ることができました。

2015年公開の心が叫びたがってるんだ。のような、優しい世界の中で物語が進んでいくので、都合良すぎと思しき部分もあったりはしますけど、さほど気にならずに観ることができます。
むしろ、ストーリーも単純明快な物語でこの後の展開が分かっていながらも、ちゃっかり私は感動してしまいました…

何だろう、演出が良かったのか何なのか。
ラストってこうなるんでしょって、読み通りに展開していくにも関わらず、分かっていながらも感動してしまったのは、逆に物語がシンプルだったため、映画のメッセージが伝わったからなのかなぁと思います。

本記事のタイトルに「青春映画」と書きましたが、この映画は、青春以上に「言葉」に重きを置いているような気がします。
もちろん、女子高生たちの日々の葛藤だったり、「ラジオ」を通して色んなことを経験したり感じたりしながらのラストシーンは、観終わってさわやかな気分になりました。
色々な悪い言葉があふれた今の世の中に、言葉やコトダマが持つ力をまっすぐに描いたこの作品は、心に沁みましたね。。

この映画はどちらかというと、日常系なんでしょうかね。
そういった意味で、意地悪な展開とかは一切無いので、肩に力を入れずに安心して観れるかと思います。

コトダマを大事にする女子高生なぎさが純粋すぎる

なんか久々にこんなにピュアなキャラクターを観た気がします。
主人公のなぎさは、小さい頃おばあちゃんに、「言葉にはタマシイが宿っているんだよ」「願い続けていればきっと叶うよ」「悪口を言うと自分に返ってくるよ」と言われて、そのコトダマの話をずっと信じ続けていています。もうすでに、なんて純粋な子なんだろう…と思わざるを得ないのですが(笑う)

画像引用:(c)2017「きみの声をとどけたい」製作委員会

なぎさの幼馴染のかえでと夕は、顔を合わせるたびに口げんかをしてしまうのですが、なぎさはそれを聞いていて嫌だなぁとストレスを感じてしまったり、なぎさ自身も無意識のうちに悪口を言ってしまって、それをすぐ反省するところとか、ホントにピュアなキャラクターです。
そんな彼女のまっすぐな姿を観ていて、とても暖かい気持ちになりました。
やっぱり、コミュニケーションがSNSだったり、テキストで何でも済ませちゃうこの時代に、言葉やコトダマを大事にする純粋さは、立ち止まって色々考えさせられますね。

実はもっと凄い人が出てくる…

大袈裟なタイトルを付けてしまいましたが、映画を観て本当にそう思いました(笑う)
予告編でもあるように、朱音さんという寝たきりの女性(矢沢紫音の母)が登場しますが、彼女が本当に凄い(小並感)。
この記事のカテゴリはプレビューに設定していますので、詳しいことは割愛しますが、彼女の言葉の力で、この映画のクライマックスが成り立っていると言っても過言ではない…(はず)。

率直に、朱音さんのような人になりたいなぁ…と思ってしまった。


なかなかストレートなメッセージ性のある映画ですが、平和的でさわやかな気持ちにもなれます。
掘り出し物を見つけたような、比較的満足度の高いだと思いますので、宜しければ観てみては如何でしょうか。

公式HP:きみの声をとどけたい

トップ画像引用:(c)2017「きみの声をとどけたい」製作委員会

鑑賞記録

劇場

TOHOシネマズ新宿
スクリーン4(ビスタサイズ)
上映回:2017年9月1日(金)22時00分~

本編前予告作品一覧(上映順)

(1)火花

(2)ナラタージュ

(3)ミックス。

(4)亜人

(5)奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール

(6)GODZILLA  怪獣惑星

(7)恋と嘘

(8)あさひなぐ

(9)ハイキュー!!才能とセンス

(10)ハイキュー!!コンセプトの戦い

(11)トリガール!

客層

20代 1割
30~40代 9割
男女比 9:1

備考

・本編開始後の入場者2名

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トリガール|土屋太鳳さんの毒舌がたまらない⁉眩しすぎる超青春映画

公開初日にトリガールを鑑賞しました。
正直観に行くかどうか迷っていて、全然期待していなかったのですが、これは個人的にどストライクな映画だった…観に行って良かった!

青春映画にも色々ありますが、鳥人間コンテストという題材も手伝ってか、気持ちよくて爽快感がある映画でした。特に若い子たちには絶対に観て欲しい!


映画「トリガール!」本予告(公式配信:showgatetrailerより)

これぞ青春! 鳥人間コンテストにかける人たち

毎年テレビでも放送されている鳥人間コンテストをテーマにした映画で、「名前だけは聞いたことあるなぁ…何だか知らないけどとりあえず人が飛ぶんでしょ?」くらいのすごく浅くて薄っぺらい知識の中での鑑賞。

ところが、観終わって最初に思ったのは人力飛行サークルに全てを懸けるメンバーがすごい熱い!

機体を作るチームやパイロットチームなどの色々な役割の中で、メンバー全員が一つの目的に向かって突き進むというまさに王道の青春

やっぱり、みんなで一緒に汗や涙を流して何かを成し遂げるっていいよね…絶対大切にしたい経験だし、観てるこちらもすごく胸が熱くなる!映画を観てても自然と応援してしまったし、勢い余ってちょっと泣いてしまった(笑)

すっきりと清々しい気持ちでスクリーンを出たのは久々だったなぁ…

周りに流され続けてきたゆきな。演じる土屋太鳳さんの演技が気持ちいい。

実は土屋太鳳さんをスクリーンで観たのは2回目で、最初に観たのは青空エールというこれまた青春映画でした。
この時は吹奏楽部の女の子を演じていて、可愛らしい人だなぁ…と思いながら観ていました。

今回のトリガールでは、周りに流されて生きてきた女の子:ゆきなという設定に加え、思ったことをすぐ口にする、いわば毒舌キャラを演じていてとっても新鮮な一面を観ることができました。

そのゆきなが人力飛行サークルに入ったきっかけも、イケメンの先輩に誘われたから。自分の意志なんて全く無く、興味すら無く、ただただイケメンの先輩に「良い身体してるね」と言われたことがきっかけ。

一般的に周りに流されちゃう人って多いと思うし、それこそ中高生くらいだとそんな些細なきっかけからハマっちゃう、なんてことも多いと思いますので、そんなゆきなに共感できる人も多いのでは?

サークルの怖い先輩の坂場&ゆきな。喧嘩するほど仲が良い⁉

サークルのパイロット班の中で圧倒的な力を持つ坂場先輩。新人のゆきなにいちいち突っかかってくるちょっと嫌味な先輩でもあります。しかしゆきなも負けず劣らず、坂場先輩に毒舌で立ち向かっていきます。予告編でもあるような二人のやりとりが、本編ではさらに強烈に繰り広げられます。

しかしながら、パワフルで最強なイメージの坂場先輩でもプレッシャーにめっぽう弱いという欠点も…コワモテだけど意外と人間味のある良いキャラです。

演じるのは間宮祥太朗さん。コワモテからプレッシャーで縮こまるところまで、幅広い演技がとても印象的でした。

毎度二人でいがみ合う中で、最終的には坂場先輩と一緒に飛ぶことになるゆきな。その中で色んな事があり、薄っぺらい気持ちでサークルに入ったゆきな自身が変わっていく姿を観て、本当に応援したくなりました。

なんかキャラが色々すごい!このゴチャゴチャ感は結構好き。

この映画にはホントに色んな方が出演されていて、実際の鳥人間コンテストでも実況を務めている羽鳥慎一アナウンサーや、琵琶湖が舞台ということもあり、ゆるキャラのひこにゃんも出演しています。

また、映画の中でも一際存在感を放っていたのが、コロコロチキチキペッパーズのナダルさん演じるペラ夫先輩。

人力飛行サークルのOBという設定ですが、物語の随所に登場し、すごい美声でナレーション風に語ってはいつの間にか消えている、そんな神出鬼没の先輩です。

しかもペラ夫先輩が語っているシーンの劇伴はJupiterで、何だかよく分からないけれども壮大な印象を与えてくれます(?)

そういうのが苦手な方には厳しい映画かと思いますが、私自身はこのゴチャゴチャしてる感じがたまらなく好きで随所で笑ってしまいました。

名曲カバー「空も飛べるはず」

忘れてはいけないのは、映画の主題歌。
今回は、ねごとさんがカバーした「空も飛べるはず」が主題歌となっています。

元々はスピッツさんのシングル曲として有名ですが、発売したのが1994年ということで、もう20年以上前の曲なんですね…

私はオリジナルが世に出た頃から知っているので、もう完全に懐メロ状態。年月は経ちましたが、いつ聴いても良い曲ですね…

映画にも合っていて、最後の主題歌まで楽しませてくれました。


トリガールは、意外にも上映時間が98分と短いので、サクッと観ることができます。

私自身が映画鑑賞をする際にも重要視しているのですが、上映時間が長すぎると結構疲れてしまうので、そういった意味でも気楽に観ることができるのではないでしょうか。

とは言え、98分の中にしっかりと凝縮されているので、たくさん笑って楽しめる映画だと思います。

公式HP:トリガール!

トップ画像引用:(c)2017「トリガール!」製作委員会

鑑賞記録

劇場

TOHOシネマズ新宿
スクリーン3(ビスタサイズ)
上映回:2017年9月1日(金)19時40分~

本編前予告作品一覧(上映順)

(1)火花

(2)ナラタージュ

(3)ミックス。

(4)亜人

(5)奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール

(6)泥棒役者

(7)氷菓

(8)先生!、、、好きになってもいいですか?

(9)恋と嘘

(10)パーフェクト・レボリューション

(11)あさひなぐ

客層

20~30代 7割
40~50代 3割
男女比 6:4

備考

・本編開始後の入場者3名
・全編通してにぎやかな映画なので周りの音(ポップコーンなど)はそれほど気にならない

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