羊の木|割とリアルなヒューマンサスペンス

田舎町に移住してきた人たちが、実は元殺人犯だったという予告でちょっと衝撃を受けた本作。
何か事件があったら真っ先に疑ってしまいそう…

まさに、信じるか疑うか。

人間の本性があぶり出されるような、リアリティのあるヒューマンサスペンス。
今回はそんな「羊の木」のレビューです。


映画『羊の木』予告編(Asmik Aceより)

「羊の木」ってどんな話?

刑期を終えた元受刑者を自治体が受け入れる新仮釈放制度により、閑散とした港町・魚深市に男女6人が移住してくる。市役所職員の月末一(錦戸亮)は彼らの受け入れ担当を命じられるが、移住者たちの過去を住民たちに知られてはならないという決まりがあった。やがて、全員に殺人歴がある犯罪者を受け入れた町と人々の日常に、少しずつ狂いが生じていき……。
シネマトゥデイより

田舎の町に新住民としてやってきた男女6人は、全員元殺人犯。
国の画期的なプロジェクトとして位置づけられる新仮釈放制度は、住居と雇用を自治体によって保障する代わりに、10年住むことを義務化することで少子化対策につなげることを意図したもの。

ただ、既存の住民には過去の経歴などを明かされることはなく、元殺人犯だと知っているのは、主人公の月末(つきすえ)をはじめとするごく一部の人だけ…

新住民の受け入れが済んでひとまず町の中に溶け込んだと思っていたところ、暴行の形跡がある遺体が発見される。
事件なのか事故なのか。
静かな田舎町のため、遺体が見つかった場所には多くの人だかりができていたが、その中に新住民の姿を見つけた月末は、少しずつ彼らのことが気になりはじめて…
という感じのお話です。

【ココが良い】音楽、演技

この映画は劇伴が良かったですね。
良かった、というのは少し語弊があるのですが…

一般的なメロディアスで感情を盛り上げるような劇伴じゃないんですよね。ピアノとかオーケストラみたいな音階がある感じではなく、なんていうか…色んな音?
田舎町だし、海とか風の音をしっかり聴かせるために、楽器を使った明確な音楽ではない感じにしたのでしょうかね。

一応、劇中に主人公が趣味でやっているバンド演奏で、ギターやらベースやらの音が出てきますが、そこのコントラストははっきりしているので、そういう意味でもちょっと新鮮な劇伴でした。(そもそも劇伴と呼んでいいのか分からないけど)

なので、物語の盛り上がりを音楽に頼らないので、その点がすごいなぁと思いました。

あと、キャストも豪華でみなさん演技がすごい良かった…
主演の錦戸亮さんはジャニーズですけど、全然違和感なかったなー…。いや、普通に上手かったと思う。

個人的に驚いたのは優香さんだな。
ほぼバラエティでしか見たことがなかったので、カワイイ人という印象があるんですけど、この映画の中ではかなり色っぽかったなぁ…
役柄もそういう感じなんですけど、大人の美人さんになっててちょっとびっくりしました。

そんな個人的な印象もさることながら、元殺人犯という難しい役柄を演じていたみなさんはホント良かったですよ。

それぞれのキャラクターの特徴というか、性格というか、ホントにリアリティがあってかなり怖かったです(笑)

松田龍平さんが演じる宮腰なんか、嫌ですね…
だって怖すぎるもん…
後半のとあるシーンにびっくりして椅子から飛び上がってしまった…
とりあえず、この映画を観て率直に思ったのは、幽霊とかよりも人間が一番怖い!

【ココはちょっと…】分かりやすい伏線

宣伝でヒューマンサスペンスと銘打ってるだけあって、人間ドラマをしっかりと観るべきなんでしょうね。

ストーリーの展開はサスペンスらしく、この先どうなるんだろうという不安を抱えながら観る場面もあったんですけど、伏線が分かりやすくて、そういう意味では若干面白さに欠けました。

原作とは変更されている部分もあって、結末は映画オリジナルだそうなので、ヒューマンドラマの方により重点を置いた感じにしたんでしょうね。

なので、おぞましさや優しさなど、人間の色んな姿を観る映画なんだと思います。

タイトルの「羊の木」の意味とは

「羊の木」ってタイトル、気になりますよね。
劇中に出てくる、羊が木に生っている絵のことなんですけど、
正直な話、明確な意味は分からないです…(爆)

ただ、公式HPにも掲載がありますが、映画の冒頭に、

その種子やがて芽吹き タタールの子羊となる
羊にして植物
その血 蜜のように甘く
その肉 魚のように柔らかく
狼のみ それを貪る
「東タタール旅行記」より

という言葉があります。

個人的な解釈ですが、前科者が罪を償い、社会復帰の一環として田舎町の住民となることで田舎町の少子高齢化を救うという劇中のプロジェクトに照らし合わせているのだと思いました。
そして、それが上手く循環していくことが望まれるのに、狼がそれを壊すということを示しているのではないかと解釈しました。

つまり、新住民としてやってきた男女6人の中に狼がいるということ…(恐ろしい)

あと、ちょっとググってみたところ、昔のヨーロッパの人は、綿は羊の生る木から取れると思っていたというお話があるそうです。そのことから、羊の木というのは、「純粋で単純な発想」、「信じること」といった意味合いがあるそうです。

この映画は、元殺人犯という過去を持った人たちが、平凡な田舎町にやってくるということを描いています。
一般的に、元殺人犯なんてことを知ったら、距離を置きたくなると思いますが、まさに、先入観だったり、見た目の印象、言葉の印象といった、羊の木のような発想で人間を見ていないかということが投げかけられているような気がします。

というわけで、羊の木の評価は…

音楽★★★☆☆
物語★★★☆☆
脚本★★★☆☆
演出★★★★☆
感情★★★★☆

総合評価3.4

公式HP:羊の木

トップ画像:©2018『羊の木』製作委員会 ©山上たつひこ、いがらしみきお/講談社

鑑賞記録

劇場

TOHOシネマズ錦糸町
スクリーン7(ビスタサイズ)
上映回:2018年2月17日(土)20時50分~

本編前予告作品一覧(上映順)

(1)ボス・ベイビー

(2)リメンバー・ミー

(3)ブラックパンサー

(4)友罪

(5)ラプラスの魔女

(6)ちはやふる-結び-

(7)去年の冬、きみと別れ

※プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~プロモーション映像

(8)プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~

(9)空海-KU-KAI

客層

20代 1割
30代 4割
40代 4割
50代~1割
男女比 3:7




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不能犯|スピード感に欠けるサスペンス

劇場予告で見かけたこの映画。

「上映開始5分、あなたのマインドが支配される」

ほう、なるほど。
支配してもらおうじゃないのと強気で観に行った本作。

漫画が原作のようですが、この映画が初見でした。
あまり先入観もなく観てきたので、
今回はそんな「不能犯」のレビューです。


映画『不能犯』本予告(showgatetrailerより)

「不能犯」ってどんな話?

大都会を舞台に立て続けに変死事件が起こり、その現場には決まっていつも黒のスーツを着た男の姿があった。その男は宇相吹正(松坂桃李)で、“電話ボックスの男”とSNSで話題になっており、とある電話ボックスに殺人の依頼を貼るだけで必ず遂行されるとささやかれていた。実際に標的は100パーセントの確率で、事故や自殺や病気によって命を落としており……。
シネマトゥデイより

SNS上で話題になっている電話ボックスの男。
とある電話ボックスに殺人の依頼を貼ると、その人を殺してくれるという都市伝説。
その殺意は純粋なものでなければならず、そうでなければ依頼人も死ぬと言われている。

世の中は色んな殺意に溢れていて、
黒いスーツの男=宇相吹正(うそぶきただし)は、その依頼を受けるとマインドコントロール(思い込み)で対象者を殺す。

自らの手を使わないため、立証できない犯罪であるが、多田友子(沢尻エリカ)は黒いスーツの男を探す。

何度か接触するうちに、多田には宇相吹のマインドコントロールが効かないことが分かり、何人もの人が殺されていくのを食い止めるため、不能犯と対決する…というお話。

【ココが良い】物語、宇相吹の不気味さ

予告でも思いましたが、まずは物語が面白かったです。
全く手をかけずに、見つめるだけで殺すという立証不可能な犯罪に立ち向かうストーリーに、どんな結末になるんだろうと興味がわきました。

物語の中では、「電話ボックスの男」という都市伝説の形で存在していることも個人的には面白かったですね。
都市伝説系の話はすごく好きなので…

あとは、宇相吹を演じる松坂桃李さんが良くって、黒スーツで神出鬼没な感じが堪らなく不気味で良かったです。

また、クライマックスで電話をかけるシーンなんかは、胸をスカッとさせてくれて意外にいい奴なんだなって思わせてくれました(笑)

【ココはちょっと…】演技、全体のバランス、スピード感

一番気になったのは、誰とは言いませんがセリフが棒読みだったこと。そこまでシビアに観てるつもりはないんですけど、そんな自分でも明らかに気づいてしまうくらい棒読み演技が一部あったので、他の出演者の方々との演技力の差が滲み出ていました。

あとは、映画全体のバランス。
この映画、結構人が死にます。物語上仕方ないのは分かりますが、映画全体に占める人が死ぬシーンの割合が高いと思います。

確か、記憶してるだけでも10人以上死んでるので、映画106分に対してさすがに多すぎないかな…と思ってしまいました。
しかも、映画のテーマ上、理不尽な死なので、観ていて不愉快とまではいきませんが、ちょっともういいよってなりました。

それもあってか、映画にスピード感が無いんですよね。
他の映画と比較しても、106分って上映時間が短い部類だと思うんですけど、かなり長く感じてしまった…

予告で観た感じだと、もっとスピード感があって、宇相吹と多田がめちゃくちゃやりあうのかなーと思っていたんですけど、少し予想を裏切られた感じでした。

人間の弱さや脆さを描いていると解釈

電話ボックスの男に頼めば嫌な人を殺してくれる。
でも純粋な殺意でなければ、依頼人も死ぬ。
そんな都市伝説的な話だったけど、依頼人は全員死んでるんですよね…
というか、そもそも純粋な殺意とは…

結局、純粋な殺意なんて存在せず、全て人間の弱さなんでしょうね。宇相吹の「愚かだね、人間は」というセリフにもリンクしてくると思います。

確かに、劇中の依頼人は自分のことしか考えてないなーと思いながら観てましたね。勝手に勘違いして、勝手な殺意を抱いて、そして勝手に死んでいく…
人間の弱さや脆さ、そして愚かさをこの映画で見せられた気がしました。
人が死ぬシーンが多いのはそういう意図があったのでしょうか…

というわけで、不能犯の評価は…

音楽★★☆☆☆
物語★★★☆☆
脚本★★★☆☆
演出★★☆☆☆
感情★★☆☆☆

総合評価2.4

公式HP:不能犯

トップ画像:©2018「不能犯」製作委員会

鑑賞記録

劇場

TOHOシネマズ日本橋
スクリーン1(ビスタサイズ)
上映回:2018年2月3日(土)11時50分~

本編前予告作品一覧(上映順)

(1)羊と鋼の森

(2)のみとり侍

(3)ラプラスの魔女

(4)いぬやしき

(5)空海-KU-KAI

(6)曇天に笑う

(7)ちはやふる-結び-

(8)去年の冬、きみと別れ

(9)坂道のアポロン

プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~
プロモーション映像

(10)リバーズ・エッジ

(11)グレイテスト・ショーマン

(12)今夜、ロマンス劇場で

(13)マンハント

客層

20代 2割
30代 3割
40代 4割
50代 1割
男女比 6:4




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スリー・ビルボード|アカデミー賞有力候補のクライム・サスペンス

アメリカの片田舎の大通りに突然現れた真っ赤な広告。
サスペンスを彩る要素としてそれだけで十分すぎて、これは観に行きたいなぁ…と思い立った本作。

なんでも、本年度アカデミー賞の最有力候補だそうで…

内容としては確かに納得の作品でした。
(この後に書きますが、個人的には観かたを失敗しましたが)
今回はそんな「スリー・ビルボード」のレビューです。


「スリー・ビルボード」日本版予告編(フォックス・サーチライト・ピクチャーズより)

「スリー・ビルボード」ってどんな話?

ミズーリ州の田舎町。7か月ほど前に娘を殺されたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は、犯人を逮捕できない警察に苛立ち、警察を批判する3枚の広告看板を設置する。彼女は、警察署長(ウディ・ハレルソン)を尊敬する彼の部下や町の人々に脅されても、決して屈しなかった。やがて事態は思わぬ方へ動き始め……。
シネマトゥデイより

娘を殺されたミルドレッドが、田舎道に寂れた看板があるのを見つけて、その広告社であるエビング広告社に発注するというところから物語が始まります。

その看板の最後の広告は、1986年のオムツの広告。
それ以来誰も発注する人がいなかったようで、かなりボロボロ。
しかし、ミルドレッドの広告が完成してからは、見違えたように看板が生まれ変わりましたが、周りに何もないところにポツンとある真っ赤な看板がとても異様な光景に見えます。

これをきっかけにミルドレッドは注目されることになりますが、みんなが信頼している警察署長に対する批判メッセージだったため、町の人たちは複雑。

そんな中、少しずつ事態が動き始めていく…というサスペンス要素満載の映画です。

【ココが良い】演技、音楽

この映画はミルドレッドが寂れた看板を見つけるところから映像が始まるんですが、そこで流れているオペラが、これから始まる物語やミルドレッドの感情を推し量っているような雰囲気を醸し出していて良かったんですよね。

全編通して、物語や人物の感情を表現している音楽がとても良かったです。カーター・バーウェルさんという方が音楽を担当しています。

また、一番良かったのは主人公のミルドレッドを演じるフランシス・マクドーマンドさんですね。

娘を殺されたという難しい役柄でしたが、その悲しみや、自分自身の後悔、犯人に対する憎しみ、警察に対する怒りなど、様々な感情を見事に演じていました。セリフのトーンもかなりリアリティがあって、結構食い入るように観ましたね。

言葉も違うので、海外映画の演技って正直分かり兼ねるんですけど、でもミルドレッドは「良い」って分かったね。
セリフだけじゃなくて、目とか表情とか仕草とか、色んなものをフルに使っていてこれは凄いと思いました。

【ココはちょっと…】「誰も辿り着いたことのない結末へと連れ去る衝撃と感動のクライム・サスペンス」

映画の宣伝文句として随所に記載がありますが、「誰も辿り着いたことのない結末」
これがミソですね。

正直、映画は全然悪くないんです。
アカデミー賞になっても大いに納得するよくできた映画だったんですけど、観る側次第で良くも悪くもなってしまうのかなと思います。

その観る側がダメだったパターンが自分なんですけど…

予告やあらすじをみて「こんな映画かなぁ」と勝手にイメージしてしまったんですね。
他の映画でもやるのでそこは大した問題じゃないんですけど、想像していた展開と違って、なおかつ、想像を超えた部分の上手い落としどころが自分で見つけられなかったんです。

そういう脚本や構成にしてるんであればいいんですが…

例えば、ミルドレッドの娘の事件には警察が関わってるのかと思ったら別にそうではなかったり…
犯人の手がかりを発見して真相に近づいたかと思えばそうではなかったり…
この映画では、謎を解き明かすことがゴールではないのね。

そこの部分をイメージしてしまったもんだから、ラストは「えっ、これで終わり?」と思ってしまいました…

完全にこれは自分自身の問題なんですけど、よくあるサスペンス映画を想像していくとちょっと違うと思います。

人間ドラマを中心に観ないといけませんでしたね…(失敗)

怒りはどこへ行くのか

スリービルボードが発端で、事態がどんどん変化していくこの物語。そもそも、この広告は警察に対する怒りを広告で表したものなので、怒りが周りに与える影響というか、怒りが周りを巻き込んでいく様をスクリーンで表現したのかなと解釈しました。

広告を出したことで協力してくれる人も現れたりしてましたが、怒ることで巻き込まれた人が傷ついたりしているのを観て、怒りは何も生み出さないなぁと思いました。(社会的に正しいという前提の場合)

全編を通して、怒りの演技が素晴らしかったフランシス・マクドーマンドさんはホント拍手です。

というわけで、スリー・ビルボードの評価は…

音楽★★★★☆
物語★★★★☆
脚本★★★★☆
演出★★★★☆
感情★★★★☆

総合評価4.0

公式HP:スリー・ビルボード

トップ画像:©Twentieth Century Fox Film Corporation.

鑑賞記録

劇場

TOHOシネマズ日本橋
スクリーン8(シネスコサイズ/TCX)
上映回:2018年2月2日(金)12時50分~

本編前予告作品一覧(上映順)

(1)羊と鋼の森

(2)のみとり侍

(3)ラプラスの魔女

(4)いぬやしき

(5)空海-KU-KAI

(6)ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男

(7)ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書

(8)ダウンサイズ

(9)15時17分、パリ行き

(10)シェイプ・オブ・ウォーター

(11)The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ

(12)ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ

(13)グレイテスト・ショーマン

客層

30代 1割
40代 3割
50代 6割
男女比 7:3

平日の日中だったため、若い年代は皆無。
多くが高齢者。




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祈りの幕が下りる時|傑作ミステリー。これは泣いた…

新参者シリーズ最後の事件ということで、劇場予告公開からとても楽しみにしてました。

安定の新参者シリーズ。
切ないストーリーについ涙してしまいました…

今回はそんな「祈りの幕が下りる時」のレビューです。


映画「祈りの幕が下りる時」予告2(東宝MOVIEチャンネルより)

「祈りの幕が下りる時」ってどんな話?

滋賀県に住む女性が東京都葛飾区で殺され、松宮(溝端淳平)ら警視庁捜査一課の刑事たちが担当するが、捜査は難航する。やがて捜査線上に女性演出家・浅居博美(松嶋菜々子)の存在が浮かび上がり、近くで発見された焼死体との関連を疑う松宮は、その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が記されていることを発見する。そのことを知った加賀恭一郎(阿部寛)は心を乱し……。
シネマトゥデイより

今回の映画では、新参者シリーズ共通の謎が明かされます。

加賀恭一郎が日本橋にずっとこだわっている理由と、加賀の母親がいなくなった理由。

予告編でもあるように、この物語でカギを握っているのは加賀自身でした。
事件が明かされたとき、思わず涙してしまいました。
それほど、心打たれる人間ドラマがこの映画にはあります。

「泣けるミステリー」
これは嘘ではなかった…!

【ココが良い】物語、演出、演技

何といっても、物語が本当に素晴らしかったんです。
伏線が随所に散りばめられていて、その全てをスマートに回収していく様が本当に良かった!
極上のミステリーだと思います。

物語の中で起こる事件が、一見関係なさそうに見えて実は複雑に絡み合っていて、少しずつ謎が解けていく様は、観ていて本当に胸熱でした。
そして、明かされる結末はとても切なくて悲しくて、ジーンとしてしまう、そんな心打たれる物語です。

また、明治座で結末が明かされるのですが、舞台の幕が上がるんですよね。そして語り終えると同時に、幕が下りる。
タイトルの「祈りの幕が下りる時」にもリンクされる素晴らしい演出も見逃せません。

あと、とっても良かったのが松嶋菜々子さん!
加賀じゃないですけど、「やっぱ超キレイだな」って映画中、何度も思いました(笑)
また、演技もホントよくって、加賀の推理に動揺する浅居がホント良かった。顔が引きつってる画がゾクゾクしたね。
人気演出家という役柄もすごいハマってたし、完成度の高い映画だったなぁ。

【ココはちょっと…】特になし

ミステリーとして完璧すぎると思ってしまうほど、緻密に構成された内容です。
ホントに面白かった!

ココはちょっとなぁ…というところは、探してもありませんね。劇伴も、物語を加速度的に面白くするタイミングだったり、そもそも楽曲が良かったり…とてもおススメの映画です。

家族の絆がカギ

このミステリーで描かれている重要なポイントは、きっと家族なんだろうと思います。

加賀が追っていた母の人生について。
そして、浅居博美の父と母について。

それぞれ描かれている人間ドラマは、家族の絆にかかわるエピソードばかりです。
そして、どちらも関わりが無いように見えて、実は複雑に関わっているという、ミステリーとしての構成が素晴らしい。

この手の話は弱いんですよね…
浅居博美とその父のエピソードはホントに切なくて悲しい…
なのでガッツリ泣いてしまいました。

ミステリーとしても面白いし、人間ドラマも必見のこの映画はぜひ劇場で観て欲しいと思います。

というわけで、祈りの幕が下りる時の評価は…

音楽★★★★☆
物語★★★★★
脚本★★★★★
演出★★★★★
感情★★★★★

総合評価4.8

公式HP:祈りの幕が下りる時

トップ画像:©2018「祈りの幕が下りる時」製作委員会

鑑賞記録

劇場

TOHOシネマズ日本橋
スクリーン7(ビスタサイズ/TCX)
上映回:2018年2月3日(土)9時10分~

本編前予告作品一覧(上映順)

(1)のみとり侍

(2)いぬやしき

(3)坂道のアポロン

(4)空海-KU-KAI-

(5)ラプラスの魔女

(6)北の桜守

(7)今夜、ロマンス劇場で

(8)マンハント

(9)ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書

客層

20代 1割
30代 3割
40代 4割
50代 2割
男女比 5:5




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嘘を愛する女|本当の愛って何だろうと考えさせられた

予告を観てかなりミステリアスな雰囲気が漂う映画だなぁ…
と思い、ドロドロ感を期待していた「嘘を愛する女」。
ようやく観てきました。

少し想像と違う展開に意外性を感じつつも、イントロダクションの通り、本物の愛を描いた作品になっていると思いました。
今回はそんな「嘘を愛する女」のレビューです。


「嘘を愛する女」特報(東宝MOVIEチャンネルより)

「嘘を愛する女」ってどんな話?

世話好きな研究医の恋人・小出桔平(高橋一生)と5年にわたって同居している食品メーカー勤務の川原由加利(長澤まさみ)。ある日、桔平がくも膜下出血で倒れて寝たきりになってしまう。さらに彼の運転免許証、医師免許証が偽造されたもので、名前も職業もうそだったことが判明。彼女は探偵の海原匠(吉田鋼太郎)と助手キム(DAIGO)に桔平の素性調査を依頼する。そして桔平が執筆中だった小説が見つかり、そこから瀬戸内のどこかに桔平の故郷があることを知る由加利だったが……。
シネマトゥデイより

ある日突然、恋人が病に倒れてしまったのがきっかけで、その人の素性が全部嘘だったことを知ってしまう主人公の由加利(長澤まさみ)。
驚きと混乱、次第に怒りもこみ上げてくる中で、恋人の過去を探しに行くというストーリー。

免許証は住所以外は全部でたらめ。
勤務先には在籍しておらず社員証も偽物。
本当の名前も分からないので、病院の書類に患者名も書けず…

恋人という親密な関係の人が、名前から何から全部嘘だって知ったらちょっと怖いですよね…

そんなミステリアスな要素もありつつ、本当の愛って何だろうと考えさせられる映画になっています。

【ココが良い】演技、瀬戸内の景色、長澤まさみ

何といっても、長澤まさみさんがイイ!
君の名は。の奥寺先輩の声も担当していましたが、最近は映画で結構お見掛けすることが多くなりました。

今回の「嘘を愛する女」では、高橋一生さん演じる桔平の恋人役として出演されています。この前観た散歩する侵略者でも同じような役を演じていましたが、「恋人」や「妻」といったポジションの役がホントハマってますね。

この映画では、恋人の素性が全部嘘だったと知った時の衝撃だったり、混乱だったり、怒りや悲しみといった感情を含む演技がホントに素晴らしいと思いました。

それだけでなく、映画に登場する方々の演技がホントに良かったんですよね。

何でも、監督が役者の皆さんに、各キャラクターの詳細設定資料を事前に渡されていたそうなんです。
それこそ、家族構成や、家族からの影響、学歴、性格、性格形成にまつわるエピソードなど、登場人物のバックボーンが描かれたかなり詳細な資料だったようです。

そのため、役者やスタッフの皆さんが、監督がイメージするキャラクターをしっかり共有できているんだなぁと、素人の立場からでも分かるくらいの素敵な演技でした。

あと、映画後半のメインの舞台となる瀬戸内の風景がすごく良かったですね。
瀬戸大橋や、瀬戸内の色んな島の風景がでてきますが、それだけで画になるくらい壮大で素晴らしかったです。
映画を観ながら、旅行で行ってみたいなと思ってしまいました(笑)

【ココはちょっと…】エンタメ性

この手の映画は、観た後に観客自身が考えたり感じたりすることができるという点で素晴らしいと思いますが、正直、エンタメ性には欠けますよね。

この映画は、新聞にも載った「夫は誰だった?」という実在の事件をヒントに作り上げた物語です。
そのため、すごくリアリティがあって良いのですが、娯楽という観点で見れば、それほどでもないかな…と思いました。

友達に「行こうぜ!」と言って誘うようなノリの映画ではないことは確かで、実際、私が観に行った上映回は、基本的にはカップル(夫婦)か、一人で鑑賞されている方だけでした。

逆に、大人しくしっとりと観るにはいい映画だと思います。

本当に愛するということ

この映画の宣伝文句で、「愛の概念が覆る」なんて言ったりしていたので、結構興味深く観ていました。

愛する人の素性が全部嘘だった。
すなわち、愛する人について知っていることが全部崩れ去った時、その人を本当に愛することができるのだろうか。
そういう視点で「愛」を描いた作品なのだろうと、解釈しました。

そもそも愛って本当に難しい概念だと思います。

今回の映画のような話だと、愛もさることながら、今まで築いてきた信頼が失われてしまう事態だと思います。自分ならちょっと引いてしまうなぁ…と思いますが、その嘘も含めて全てを愛す、ということを映画で魅せられたような気がしました。

ただ、映画の中の嘘は、愛しているが故に、由加利を苦しめているという側面もあると思うので、今まで観たことがないタイプのヒューマンドラマでした。

というわけで、嘘を愛する女の評価は…

音楽★★★☆☆
物語★★★☆☆
脚本★★★★☆
演出★★★★☆
感情★★★☆☆

総合評価3.4

公式HP:嘘を愛する女

トップ画像:(C)2018「嘘を愛する女」製作委員会

鑑賞記録

劇場

TOHOシネマズ錦糸町
スクリーン3(ビスタサイズ)
上映回:2018年1月28日(日)9時40分~

本編前予告作品一覧(上映順)

(1)グレイテスト・ショーマン

(2)スリービルボード

(3)ちはやふる -結び-

(4)去年の冬、きみと別れ

(5)羊の木

(6)不能犯

(7)羊と鋼の森

(8)ラプラスの魔女

(9)坂道のアポロン

(10)空海-KU-KAI-

(11)いぬやしき

客層

30代 1割
40代 4割
50代 5割
男女比 5:5




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