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シェイプ・オブ・ウォーター|水のようにスッと胸にしみる不思議で奇妙なロマンス【アカデミー賞作品賞受賞】

予告やポスターを見て、なんか不思議な感覚になったこの映画。
過度な期待はせずに観にいったんですが、いやー、すごかった。

見終わって、これはアカデミー賞いける!ってマジで思いました。
そしたらホントに受賞しちゃった…
作品賞、監督賞、美術賞、作曲賞の4冠に輝きました!おめでとう!

今回はそんな「シェイプ・オブ・ウォーター」のレビューです。


『シェイプ・オブ・ウォーター』日本版予告編(フォックス・サーチライト・ピクチャーズより)

「シェイプ・オブ・ウォーター」ってどんな話?

1962年、米ソ冷戦時代のアメリカで、政府の極秘研究所の清掃員として働く孤独なイライザ(サリー・ホーキンス)は、同僚のゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)と共に秘密の実験を目撃する。アマゾンで崇められていたという、人間ではない“彼”の特異な姿に心惹(ひ)かれた彼女は、こっそり“彼”に会いにいくようになる。ところが“彼”は、もうすぐ実験の犠牲になることが決まっており……。
シネマトゥデイより

スリー・ビルボードと同じフォックス・サーチライト・ピクチャーズの作品で、本年度アカデミー賞に13部門でノミネートされている作品です。
本日発表の第90回アカデミー賞では、作品賞、監督賞、美術賞、作曲賞を受賞しました。

声を出せないイライザが出会った不思議な生き物。
最初は好奇心だったのが、ありのままの自分を見てくれる”彼”のことをいつの間にか想っていることに気づく。

二人が互いに感じあうには、言葉は必要なかった。
サスペンス要素もある、不思議で奇妙な愛の物語です。

【ココが良い】演技、音楽、映像

正直な話、見終わった後の余韻が凄すぎて、「良かった…(語彙力)」っていう感想しかなかったんです。
少しずつ思い出しながら良かった点を考えてみると、おそらく演技、音楽、映像になってくると思います。

まず演技は、主演のサリー・ホーキンスさんの全身を使った感情表現がほんっとに良かった。
声を出せない役なので、セリフは基本的に無くて手話で会話するんですけど、声を出さない演技でこれだけ感情を訴えることができるということに感動してしまいました。2015年に公開された「心が叫びたがってるんだ。」っていうアニメ映画も、主人公が声を出せない中での演技がすごいなーと思いましたが、それと同じ感動でしたね。

特に、はじめは好奇心だったのが、お互いのありのままの姿を言葉を介さずに感じあい、感情をぶつけ合っていくという、微妙で繊細な感情の変化が圧倒的だったね。
彼女は境遇的にはあまり良い人生ではないだろうし、”彼”もグロテスクなビジュアルなんだけど、外見じゃなくて、お互い心で惹かれあってるんだよな…
観ていて”2人”の幸せをただただ祈ってしまった。

また、この映画の中の音楽も印象的だったなぁ。
一部、ミュージカルっぽい演出もあったせいかと思うけど、”2人”の関係や彼女の感情をより深く表現するのを見事に手伝っていましたね。
というか、シーンのつなぎ目の音楽の使い方がすごい上手くて、観ているこっちの気持ちを途切れさせないんですよ。自分の好きな映画のポイントを突っついてくるなぁ…と思いました。

あとは映像ですね。
水のシーンは特にお気に入りです。
水の中で、彼女と”彼”が抱き合うシーンとか。
ただただ美しかったなぁ…圧倒的美しさ。
涙流れたし…

まさに映画のポスターのシーンですよ。
美しい画だし、そして最大のネタバレだと思う。。

映像関連でもう一つ。
この映画に猫が登場するんですけど、猫に萌えた…
イライザとジャイルズがやりとりしてるシーンの端のほうで、猫が自由に動き回ってるの。
意図を感じさせない自然な映像にほっこりしましたね。

【ココはちょっと…】観る人によって好き嫌いがハッキリしそう

前述の通り、自分はめっちゃどストライクな映画でした。
ただ、色んなレビューを見ても概ね高評価が多いのですが、観る人によって評価が極端に分かれてしまうだろうという内容でしたね。

不思議な生き物のビジュアルが受け付けない人もいるでしょうし、その生き物と人間というカップリングが厳しい人もいるでしょうし…
あと、裸や自慰、ベッドシーンなんかもありますし。(ベッドシーンに一瞬モザイクがかかります)
一応この作品はR-15指定ということで、暴力的なシーンもあります。

個人的にはベッドシーンだけは要らなかったなと思いましたが、それでもかなり胸に来るものがありましたね。

The Shape of Water

タイトルが素敵ですよね。
日本語に直訳すると、水の形。

この映画の中で、雨の日、イライザが乗ったバスの窓に付いている水滴のシーンがあります。
水滴が風に吹かれて流れていった先で、もう一つの水滴とくっついて一つになるっていうシーン。
すごい素敵だなーって思ったのと同時に、”2人”の結末を予感させる重要な部分かなぁと思っています。

あと、この映画に登場する人たちってほとんどがマイノリティなんですよね。
イライザも声を出せないので偏見を持たれてしまうキャラクターだし、
親友のゼルダは黒人女性、ジャイルズはゲイ。
肝心の”彼”は、ビジュアルもグロテスクな不思議な生き物。

マイノリティも含め、世界には色んな人がいるということをThe Shape of Waterに例え、その中のイライザと”彼”が一つになる物語だったんですかね…

というわけで、シェイプ・オブ・ウォーターの評価は…

音楽★★★★★
物語★★★★★
脚本★★★★★
演出★★★★★
感情★★★★★

総合評価5.0

公式HP:シェイプ・オブ・ウォーター

トップ画像:©Twentieth Century Fox Film Corporation.

鑑賞記録

劇場

TOHOシネマズ錦糸町
スクリーン4(ビスタサイズ)
上映回:2018年3月3日(土)20時50分~

本編前予告作品一覧(上映順)

(1)ラプラスの魔女

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生~RP動画

(2)ミッション:インポッシブル フォールアウト

(3)ジュラシック・ワールド 炎の王国

(4)ハン・ソロ/スターウォーズ・ストーリー

(5)レディ・バード

(6)アベンジャーズ インフィニティ・ウォー

(7)ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男

(8)犬ヶ島



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羊の木|割とリアルなヒューマンサスペンス

田舎町に移住してきた人たちが、実は元殺人犯だったという予告でちょっと衝撃を受けた本作。
何か事件があったら真っ先に疑ってしまいそう…

まさに、信じるか疑うか。

人間の本性があぶり出されるような、リアリティのあるヒューマンサスペンス。
今回はそんな「羊の木」のレビューです。


映画『羊の木』予告編(Asmik Aceより)

「羊の木」ってどんな話?

刑期を終えた元受刑者を自治体が受け入れる新仮釈放制度により、閑散とした港町・魚深市に男女6人が移住してくる。市役所職員の月末一(錦戸亮)は彼らの受け入れ担当を命じられるが、移住者たちの過去を住民たちに知られてはならないという決まりがあった。やがて、全員に殺人歴がある犯罪者を受け入れた町と人々の日常に、少しずつ狂いが生じていき……。
シネマトゥデイより

田舎の町に新住民としてやってきた男女6人は、全員元殺人犯。
国の画期的なプロジェクトとして位置づけられる新仮釈放制度は、住居と雇用を自治体によって保障する代わりに、10年住むことを義務化することで少子化対策につなげることを意図したもの。

ただ、既存の住民には過去の経歴などを明かされることはなく、元殺人犯だと知っているのは、主人公の月末(つきすえ)をはじめとするごく一部の人だけ…

新住民の受け入れが済んでひとまず町の中に溶け込んだと思っていたところ、暴行の形跡がある遺体が発見される。
事件なのか事故なのか。
静かな田舎町のため、遺体が見つかった場所には多くの人だかりができていたが、その中に新住民の姿を見つけた月末は、少しずつ彼らのことが気になりはじめて…
という感じのお話です。

【ココが良い】音楽、演技

この映画は劇伴が良かったですね。
良かった、というのは少し語弊があるのですが…

一般的なメロディアスで感情を盛り上げるような劇伴じゃないんですよね。ピアノとかオーケストラみたいな音階がある感じではなく、なんていうか…色んな音?
田舎町だし、海とか風の音をしっかり聴かせるために、楽器を使った明確な音楽ではない感じにしたのでしょうかね。

一応、劇中に主人公が趣味でやっているバンド演奏で、ギターやらベースやらの音が出てきますが、そこのコントラストははっきりしているので、そういう意味でもちょっと新鮮な劇伴でした。(そもそも劇伴と呼んでいいのか分からないけど)

なので、物語の盛り上がりを音楽に頼らないので、その点がすごいなぁと思いました。

あと、キャストも豪華でみなさん演技がすごい良かった…
主演の錦戸亮さんはジャニーズですけど、全然違和感なかったなー…。いや、普通に上手かったと思う。

個人的に驚いたのは優香さんだな。
ほぼバラエティでしか見たことがなかったので、カワイイ人という印象があるんですけど、この映画の中ではかなり色っぽかったなぁ…
役柄もそういう感じなんですけど、大人の美人さんになっててちょっとびっくりしました。

そんな個人的な印象もさることながら、元殺人犯という難しい役柄を演じていたみなさんはホント良かったですよ。

それぞれのキャラクターの特徴というか、性格というか、ホントにリアリティがあってかなり怖かったです(笑)

松田龍平さんが演じる宮腰なんか、嫌ですね…
だって怖すぎるもん…
後半のとあるシーンにびっくりして椅子から飛び上がってしまった…
とりあえず、この映画を観て率直に思ったのは、幽霊とかよりも人間が一番怖い!

【ココはちょっと…】分かりやすい伏線

宣伝でヒューマンサスペンスと銘打ってるだけあって、人間ドラマをしっかりと観るべきなんでしょうね。

ストーリーの展開はサスペンスらしく、この先どうなるんだろうという不安を抱えながら観る場面もあったんですけど、伏線が分かりやすくて、そういう意味では若干面白さに欠けました。

原作とは変更されている部分もあって、結末は映画オリジナルだそうなので、ヒューマンドラマの方により重点を置いた感じにしたんでしょうね。

なので、おぞましさや優しさなど、人間の色んな姿を観る映画なんだと思います。

タイトルの「羊の木」の意味とは

「羊の木」ってタイトル、気になりますよね。
劇中に出てくる、羊が木に生っている絵のことなんですけど、
正直な話、明確な意味は分からないです…(爆)

ただ、公式HPにも掲載がありますが、映画の冒頭に、

その種子やがて芽吹き タタールの子羊となる
羊にして植物
その血 蜜のように甘く
その肉 魚のように柔らかく
狼のみ それを貪る
「東タタール旅行記」より

という言葉があります。

個人的な解釈ですが、前科者が罪を償い、社会復帰の一環として田舎町の住民となることで田舎町の少子高齢化を救うという劇中のプロジェクトに照らし合わせているのだと思いました。
そして、それが上手く循環していくことが望まれるのに、狼がそれを壊すということを示しているのではないかと解釈しました。

つまり、新住民としてやってきた男女6人の中に狼がいるということ…(恐ろしい)

あと、ちょっとググってみたところ、昔のヨーロッパの人は、綿は羊の生る木から取れると思っていたというお話があるそうです。そのことから、羊の木というのは、「純粋で単純な発想」、「信じること」といった意味合いがあるそうです。

この映画は、元殺人犯という過去を持った人たちが、平凡な田舎町にやってくるということを描いています。
一般的に、元殺人犯なんてことを知ったら、距離を置きたくなると思いますが、まさに、先入観だったり、見た目の印象、言葉の印象といった、羊の木のような発想で人間を見ていないかということが投げかけられているような気がします。

というわけで、羊の木の評価は…

音楽★★★☆☆
物語★★★☆☆
脚本★★★☆☆
演出★★★★☆
感情★★★★☆

総合評価3.4

公式HP:羊の木

トップ画像:©2018『羊の木』製作委員会 ©山上たつひこ、いがらしみきお/講談社

鑑賞記録

劇場

TOHOシネマズ錦糸町
スクリーン7(ビスタサイズ)
上映回:2018年2月17日(土)20時50分~

本編前予告作品一覧(上映順)

(1)ボス・ベイビー

(2)リメンバー・ミー

(3)ブラックパンサー

(4)友罪

(5)ラプラスの魔女

(6)ちはやふる-結び-

(7)去年の冬、きみと別れ

※プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~プロモーション映像

(8)プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~

(9)空海-KU-KAI

客層

20代 1割
30代 4割
40代 4割
50代~1割
男女比 3:7




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伊藤くん A to E|岡田将生さん演じる伊藤に振り回される女たちの物語

2018年、明けましておめでとうございます。(遅)
年も明けて、今年の映画始め、1本目の映画は「伊藤くんA to E」でした。

クズ男の伊藤に翻弄される女性たち、
そして主題歌のandrop「Joker」という曲が印象的な予告に魅かれて観に行ってきました。

新年早々、痛い映画からのスタート。
痛い1年にならないように祈りながら、今年も映画たくさん観よ…
ということで、伊藤くん A to Eのレビューです。


映画『伊藤くん A to E』 予告篇(showgatetrailerより)

「伊藤くん A to E」ってどんな話?

アラサーの元売れっ子脚本家・矢崎莉桜(木村文乃)は、自分の講演会に参加した4人の女性から受ける恋愛相談をネタにしようとする。取材を進めるうちに、彼女たちを振り回す男「伊藤」が同一人物で、しかも莉桜が講師を務めるシナリオスクールの生徒の一人・伊藤誠二郎(岡田将生)であることに気付くが……。
シネマトゥデイより

この映画には、色んな女性たちが出てきます。
A:ぞんざいに扱われる女
B:自分の殻に閉じこもる女
C:愛されたい女
D:ヘビー級処女
E:
それぞれの登場人物たちの群像劇のような構成になっています。
彼女たちに共通することは、伊藤という男の存在。
その伊藤がいわゆるクズ男で、彼女たちを振り回すというお話。

実は、伊藤くん A to Eのドラマも放送していたそうで…
そんなこととはTSU☆YU☆SHI☆RA☆ZU
いきなり映画から観に行ってしまった…
でも、初見でもストーリーとか理解できたし、映画を最初に観たとしても特に問題ない作りになっていました。

ちなみにドラマ版では、脚本家・矢崎莉桜がイメージしていることの視点で描かれているようです。
今回の映画では、A~Dの女たちの視点だったり、ドラマ版とは異なった視点となっていますので、ドラマを観た人は、視点の角度を楽しみながら観れると思います。

【ココが良い】キャスト、演技、主題歌

この映画は、岡田将生さんと木村文乃さんのW主演です。

伊藤くんを演じる岡田さんは、不敵な笑みや、人を見下すような目がなんとも恐ろしく、正に「痛い男」を演じ切っていました。
また、矢崎を演じる木村さんは、すごくプライドが高く、外面はいいけど毒を持っている女を熱演していました。

個人的には木村さんの演技が特に気に入っていて、伊藤に翻弄されて怒り苦しむ姿がすごい熱かった…!
美人さんだからちょっと見とれていたのもあるけど(笑)
最初は、伊藤と話していても平然とした態度だった矢崎が、徐々に動揺していく姿をよく演じていたと思いました。

また、他のキャストも、それぞれの役柄をしっかり理解して演じているのがすごい伝わってきました。

そもそもこの映画の登場人物は、みんなダメな人たちです。
ダメな方向性がはっきりしているので、一見現実的ではないと思いそうですが、たぶんどこかしら共感できるところがあるキャラばかりだと思います。

ちなみに私は、Bの女(自分の殻に閉じこもる)に少し似ている部分があり、ダメだなぁ…と思ってしまった次第。
ある意味、自分自身をも見直すきっかけにもなるのでは…

あとは、主題歌が映画にすごく合ってて良い!
エンドロールをノリノリで観てしまった…!
原作やドラマ等をしっかり読み込んだ上でじっくりと作られたそうなので、さすがというか、もうイメージぴったりの曲をありがとう!という感じでした。


androp「Joker」special movie (映画「伊藤くん A to E」ver.)
(UNIVERSAL MUSIC JAPANより)

【ココはちょっと…】劇伴の使い方、テンポ感

主題歌も良かったし、劇伴の楽曲自体は好きなんですけど、劇伴の使い方がちょっと良くないと思いました。

具体的に言うと、同じような楽曲を使い回していたので、音楽による物語の盛り上がりが無かったのが少し残念でした。
群像劇だし、そういう意味で同じものを使うのもアリだとは思いますが、個人的に、音楽は映画を盛り上げる重要な要素だと考えているので、もっと色んな音を鳴らして欲しかったなぁ…

あとは、映画全体の物語のテンポ感。
もうちょっとサクッと進めてもいいんじゃないかって思うシーンがいくつかありました。
何というか、「間」っていうんですかね。

伊藤に振り回されて女性たちが苦しんでるシーンとか、みじめなシーンの悲哀感を出しているのかもしれませんが、個人的にはもう少しテンポよく進めば良いのにと思いました。

プロットはすごく好きなタイプの話なので、個人的にはちょっと惜しい映画でしたね。

伊藤という男が映し出すもの

この映画の重要な人物である伊藤。
色んな女性を振り回すクズ男。

登場する女性たちは、考えが凝り固まっていたり、何かに捕らわれていたり、盲目になっていたり…
ある意味自分自身を見失っている人ばかり。
でも、振り回された女性たちは、みんな伊藤のおかげで一皮剥けていくんですよね。
そこがこの映画の面白いところなのだと思います。

「僕はリングになって、戦わない。戦わなきゃ負けない。」
伊藤が言ったセリフです。(確かこんなセリフだったような…)
伊藤は、自分が傷つきたくないから一生懸命になることを放棄し、目の前のことから逃げる男。
つまり、伊藤は人間の弱さなのだと解釈しました。

この映画を観終わってフッと思い浮かんだのが、中島みゆきさんの「ファイト!」という曲。

闘う君の唄を 闘わない奴らが笑うだろう

伊藤くんはまさに、闘わない奴らです。
でも逆に、そういった人をきっかけにして、「絶対見返してやる!」みたいなプラスのエネルギーが生まれるので、必ずしもその存在を否定することはできないと思います。
まぁ、クズなんですけどね(笑)

ただ、そのクズ男・伊藤も、振り回したはずの女性たちがどんどん自分から卒業していくのを見て、虚しさを感じていると思われる描写もありました。ラストシーンでは…

伊藤も、自分でリングに上がって戦う日が来ると良いですね。
そんなことを考えながら、この映画を反面教師にして、観ていた自分自身も色んなことから逃げずに頑張ろうと思いました。


というわけで、伊藤くん A to Eの評価は…

音楽★★★☆☆
物語★★★★☆
脚本★★★★☆
演出★★★☆☆
感情★★★☆☆

総合評価3.4

公式HP:伊藤くんA to E

トップ画像:(C)「伊藤くん A to E」製作委員会

鑑賞記録

劇場

TOHOシネマズ上野
スクリーン6(ビスタサイズ)
上映回:2018年1月13日(土)10時05分~

本編前予告作品一覧(上映順)

(1)いぬやしき

(2)名探偵コナン ゼロの執行人

(3)ちはやふる -結び-

(4)坂道のアポロン

(5)となりの怪物くん

(6)リバーズ・エッジ

(7)今夜、ロマンス劇場で

(8)羊の木

(9)不能犯

(10)CINEMA FIGHTERS

(11)パディントン2

客層

20代 2割
30代 4割
40代 3割
50代 1割
男女比 8:2




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女神の見えざる手|敵も味方も観客も欺くミス・スローン。2017年一番興奮した洋画。

戦略のプロ「ロビィスト」をテーマにした映画。
10月公開にもかかわらず、すっかり見落としていて今更観てきました…でも絶賛ヒット中らしく、まだ公開終了してなくて良かった!

そのヒットも頷けるほど面白い映画でした。
個人的には、2017年一番興奮した洋画です。今回はそんな「女神の見えざる手」のプレビューです。


映画『女神の見えざる手』 予告篇(キノフィルムズより)

主人公ミス・スローンとは

この映画の邦題は「女神の見えざる手」ですが、原題は「MISS SLOANE」。主人公の名前です。

相変わらず、邦題のセンスのなさが光ります…
というのは置いといて、この映画のタイトルはMISS SLOANEが良かった…と思ってしまうほど、主人公が濃くて強い。

そもそもこの映画は、政府の政策に影響を及ぼすことを目的に、戦略的に活動するプロ集団:ロビィストをテーマとしています。
ミス・スローンはトップロビィストで、アメリカの銃社会の規制派としてロビー活動をするのですが…

彼女の決断力、発想力、行動力、信念  etc…
どれをとってもすごい。さすがプロと思わせる身のこなしで、映画なんだけど、ミス・スローンの凄さがひしひしと伝わってきました。

そして、ロビー活動で「勝つこと」しか考えていないので、超ぶっ飛んでる…
一般的なモラルや常識は通用しないし、法律ギリギリの危ないこともするし(むしろ違法)、周りの人たちはみんなコマみたいな感じに扱うし…絶対に一緒に仕事したくはない(笑)

でもそれほど強烈なキャラクターなので、今まであまり映画で観たことがないほど圧倒的で引き込まれました。

脚本がすごい興味深く面白い

女神の見えざる手は、もともと弁護士だったジョナサン・ペレラ氏が書いた脚本。しかも初めて書いた脚本が映画化されたそう…まずそこに驚き。

日本ではあまり馴染みがないロビー活動をテーマとした内容になっていますが、それほど知識がなくともすごく面白いし、分かりやすい脚本になっていました。

アメリカの銃社会という社会的なテーマも織り交ぜ、政治の舞台裏をスピーディに描いているが故、息もつかせぬ展開の移り変わりに、130分ほどの映画ながらあっという間でした。

当然アクション映画のような迫力はないですが、相手の先手を読む頭脳戦なので、それを巧みに魅せる脚本や構成がホントに面白かったです。
そしてセリフがめっちゃ多い!!
こんなにセリフが多い洋画観たことない…(笑)
そのため、字幕の文字の移り変わりがめっちゃ激しい!

役者の演技も観つつ、文字も追いつつで大変ですが、逆転につぐ逆転の末に導かれるラストはぜひ劇場で観て欲しいですね。

敵も味方も観客も欺く展開に胸が熱くなる

聴聞会に召喚され、過去の仕事における不正についての真偽を問われるミス・スローン。
そんなシーンから始まるこの映画ですが、まさかこのオープニングが壮大なフラグになっていたとは…

劇中では、敵も味方も関係なく欺き、利用し、勝つことしか頭にないくらいの強烈なキャラクターであるミス・スローンですが、観てるこっちも欺かれました。

それくらい、目まぐるしく変わる展開に胸が熱くなったし、ホントによく作られたストーリーだなと思いました。
これは面白かった!

ジョン・マッデン監督のインタビューによると、「シーンの流れを時系列にせず、リズムを重視する方法が模索された」らしく、どうりで主人公の感情というか、勢いが映画に現れていたなと感じました。

これはきっと2回目が面白いに違いない。。


政治的な要素がある映画ってたくさんあるんですけど、どれも魅せ方が退屈で面白くないと思っていました。

でもこの映画は、政治、ドラマ、サスペンスなどが色々織り交ぜて合って、脚本とスピード感がたまらなく面白くて、2017年で一番興奮した洋画でした。
あんまりブログにこういうことは書かないですが、この映画はおススメです。

公式HP:女神の見えざる手

トップ画像:(C)2016 EUROPACORP – FRANCE 2 CINEMA

鑑賞記録

劇場

TOHOシネマズみゆき座
(シネスコサイズ)
上映回:2017年12月5日(火)15時25分~

本編前予告作品一覧(上映順)

(1)スター・ウォーズ 最後のジェダイ

(2)空海―KU-KAI―

(3)パディントン2

(4)ジャコメッティ 最後の肖像

(5)カンフー・ヨガ

(6)ユダヤ人を救った動物園~アントニーナが愛した命~

客層

30代 1割
40代 2割
50代 7割
男女比 8:2

備考

たまたま機会があって平日に来てみたら、さすがに年齢層高かった…平日&みゆき座という場所柄、平均年齢50以上でした。




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IT “それ”が見えたら、終わり。|面白かったけど期待値を上げすぎてしまった映画

苦手だけどついつい観ちゃう…それがホラー映画。
今回紹介する「IT」も、予告で観てすごい怖そうだけど、同時に面白そう!と思った映画です。

ポスタービジュアルとかが良くて、赤い風船、黄色いコートを着た子供、風船に薄っすら映ったピエロに、赤文字で「IT」。
予告動画のサムネでも分かるように、かなりよくできたビジュアルにも魅かれて、公開をすごく楽しみにしていました。
今回はそんな「IT」のプレビューです。


映画「IT “それ”が見えたら、終わり」予告編(ワーナーブラザーズ公式チャンネルより) 

演出はとってもいい!怖いシーンは結構好き

この映画のオープニングはすごく好きなシーンですね。
雨が降り続いているシーンから始まり、その裏でピアノの劇伴が流れているのですが、カメラワークの中に映る、主人公ビルのお母さん?的な人がピアノで弾いてるという演出がすごく気に入りました。

また、予告編でもあるように、排水溝を覗き込むとピエロがスッと出てくるシーンだったり、他の子供たちがピエロと出会うシーンなんかは、演出も相まってなかなか怖い感じになってました。
ピエロは色んなものに姿を変えれるため、それぞれの子供が怖いと思うものに姿を変えて襲ってきます。
そのため、色んな怖いシーンがあってとても楽しめました

期待値を上げすぎてしまい、逆に不発だった

ホラー部分については、前述した通り演出などがすごく良いなと思ったのですが…
完全に個人的な問題ではありますが、この「IT」に関しては、鑑賞前からかなり期待値を上げてしまったんですよね…

そのため、他レビューなどでは絶賛の意見が多い中、確かに面白いとは思うんですけど、個人的にはちょっと微妙な感じで終わってしまいました。期待値を超えられなかった理由としては、映画の中で感じた違和感があったためだと思います。

この映画はホラー映画というカテゴリに分類されますが、子供たちの友情や冒険的な側面も見受けられます。
そのため、怖いの半分、青春半分みたいな感じで、若干の中途半端さに違和感を感じました。

予告ではホラー全開な感じで、すごい怖そう!!っていうのが第一印象だったのですが、笑えるところや和むシーンもあったため、全体的な怖さはそこまででもなかったですね。
怖いと感じた方には大変申し訳ないですが、B級ホラーやサスペンス映画のほうがよっぽど怖いです。

また、昔の事件やら、”それ”が現れる場所やら、何となく怪しい謎がちょこちょこ出てくるんですけど、結局顛末が明確に語られるわけでもなくモヤモヤすることもありました。

どちらかというと、”それ”と子供たちが対決する場面だったり、ホラーより友情とか青春の方がメインになってくるのかなぁ…。

ホラー映画なんですが、そういったホラー以外の要素もあるためちょっとごちゃごちゃしてる印象があり、個人的には不発でした。映画評論家の視点から見ると、ジャンルがまたがっていてそれが上手く融合しているのが良いらしいんですけどね…

一応、最後、映画タイトルが出た際に、chapter1となっていたため続編があるようです。今回観て感じたモヤモヤも解消できればいいなぁ…


…ちょっとプレビューの内容が薄くなってしまいました。
期待値を上げすぎるのは良くないですよね。
今後そういった映画があった時には、なるべくまっさらな気持ちで鑑賞するように心がけたいと思いました。

公式HP:IT “それ”が見えたら、終わり。

トップ画像引用:2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC.

鑑賞記録

劇場

TOHOシネマズ日本橋
スクリーン1(シネスコサイズ)
上映回:2017年11月11日(土)18時30分~

本編前予告作品一覧(上映順)

(1)嘘を愛する女

(2)祈りの幕が下りる時

(3)DESTINY 鎌倉ものがたり

(4)火花

(5)GODZILLA 怪獣惑星

(6)フラットライナーズ

(7)スターウォーズ 最後のジェダイ

(8)オリエント急行殺人事件

(9)ジャスティス・リーグ

客層

20代 2割
30代 5割
40~50代以上 2割
男女比 5:5

備考

上映開始後の入場者1名

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